仕事を理解していない管理職
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少し間が空いてしまいました。今回のテーマは「仕事を理解していない管理職」。
以前、求職活動をしている男性に、ハローワークの方が「あなたは何ができますか?」と聞いたところ、「部長です」と言われてあきれかえった、というエピソードをふと、思い出しました。
知り合いの上司のSさんは、まったくジャンル違いの部署から異動してきたせいか、部下のやっていることや、自分の部署の仕事の流れを理解していないので有名だった。
仕事をしている際には上司に相談したり、決裁を受ける機会が毎日のように発生することが多いものだが、彼の部署ではほとんどそれは形骸化していた。
たとえば部下が稟議書を持っていくと、彼が見るのは金額だけ。
「内容を見ても理解できないから」というのがその理由である。
したがって、通常の小額の決裁は本当は必要ないものでも通ってしまうのだが、大きな備品を購入しなければならないようなときに問題が発生する。
「ちょっとK君、この備品、本当に必要なの?」
「○○の作業に使っていた機械について、修理を依頼したところ、買ったほうが安いし、いいものが購入できると言われましたし、ほかの部署では代替の利くものは保有してませんし、この機械が使えないので現在作業がストップしている状態です。業者から代品を借りてしのいでいますが、どうするか決めないとそれも返品しないといけませんし」
「いや、何に使ってるんだかはわからないんだけどさ。ただこの金額が何とかならないものかと思って。そんな重要なものなの?」
「いや、ですから○○の作業で必要なものですし、この作業はわが社で作っている××を作るためには絶対必要なものでしょう?」
「いや、だから難しいことはわからないといっているだろう。何とかならないかと言っているんだ」
「先ほど申し上げたとおり、なりません。」
「いや、この金額だと上に相談しないといけないんだが、僕にはうまく説明できないし…君、一緒に行って説明してくれないか?」
で、一緒に役員のところまで行って説明する羽目になったK君、一通り説明したところで、役員がSさんに話しかけた。
「なるほど、その作業で必要だったらしかたない。納品も早いほうがいいと思うが?というよりも、何でもっと早く来なかったんだ!」
「いや、私にはよくわからなくて…」
「わからないじゃ困るだろう!」
ということでさんざん怒られたSさん、ちょっと反省したかと思いきや、別の方向に向かってしまった。
部下の言うことを無条件で信じるようになってしまったのである。ほとんどハンコ押しマシーンとなってしまったS氏のところには、部下がいろいろな書類を持ち込む。そして彼はそれをほとんど見ずに、ハンコを押す。
そのようなことをしているうちに、トラブルが起きた。
部下が「どうせ見ないんだから」ということで、ろくに金額交渉もせずに結んだ契約について、後から上の役員たちに突き上げられたという。
「今までの同じような契約よりずっと高いじゃないか!なんでこんな契約を承認したんだ!」
「いや、私にはよくわからなくて…」
「わからないって、もう君はこの部署に一年いるんだよ!いつまでもそんなことが通ると思っているのか!」
ということで、Sさんはあえなく別の部署の平社員に降格となってしまった…。
管理職になって経験していない部署に異動するというのは大変なことだ。
自分よりも知識のある部下たちの書類や行動をチェックしなければならないのだから。
そのような疑問を以前、上司にぶつけてみたことがある。すると、戻ってきた答えは
「いや、管理職になるような年代になったら、本当は会社全体のことを理解していないといけないんだよ。全体の流れを理解していて、さらに今まで経験してきた部署での知識があれば、管理職としての仕事をするのはどの部署でも、無理なことではないし、それだけの給料をもらってるんだからね」
という説明を受けてなるほど、と思った。そしてさらに、Sさんはそういった考えで今まで平社員としての生活を過ごしてこなかったんだろうな…と思ってしまった。
その後、以前読んだ本に「社長の気持ちで仕事をするべし」というような一節があり、さらにそのことが実感できるようになった。
しかし、そのような感覚できたとしても、異動してきてからの「努力」はもちろん必要である。以前聞いた話だが、同じように別のジャンルから異動してきた管理職の方がいて、その人が開口一番言ったのは
「みんなの様子を見たいから、全員の仕事を部下として一度経験させてください。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
ということだった。いずれもそれほど長い時間作業をしていたわけではないが、その中で一つ一つの作業について「なぜこれをしているの?」などと的確な質問をしているのに感心したそうだ。
さらに、理解するまで説明を受けた上で承認のハンコを押しているのを見て、最初は心配していた部下も、自分から説明をしに行くようになり、さらにいろいろな相談をするようになっていった。そして最後には、その部署の業務については会社で一番詳しい、と言われるまでになったのだという。
もちろんこのようなことをすべての人ができるわけではないのはわかっているし、すべきではない立場の人もたくさんいる。
でも、現場はいつも上に「もっと自分のやっていることをわかってほしい」と思っているものだ。
それがわかると、現場のモチベーションは上がるし、自分自身も新しいことがわかってスキルアップするのだから、本来はプラスになることだらけのはずなんですけどね。
しかしこのような話を聞くたびに、自分はまだまだ管理職の器ではないな、と思うのである。
- [2006/08/26 20:36]
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